従来の研究成果を総括するため、全国的視野に立って戦国期の城郭および城下町に関する研究成果を整理し、研究の到達点と残された課題を明らかにすることにつとめた。また、「毛利家文書」、「萩藩閥閲録」、「防長寺社由来」などの既刊史料を検索し、関係史料を収集・整理するとともに、東京大学史料編纂所架蔵の影写本・写真帳、山口県県史編纂室架蔵の写真帳、山口県文書館架蔵の史料などを重点的に調査し、多数の史料を収集することができた。さらに、吉田街の現地調査を実施し、吉田町役場所蔵の明治期の地籍図を調査するとともに、空中写真なども収集した。 以上の成果を踏まえて、郡山城の山上の城郭の構造と大名の居住空間、山上および山麓の城郭への家臣の在番形態、城下町吉田における家臣屋敷・寺社・市場の存在形態、などについて基礎的な考察を行い、いくつかの新しい知見を得ることができた。
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