基本調査(資料所在分布調査)の第一年次である平成7年度は、57回の野外調査を実施し(資料生理事業・関連資料調査は除く)、横須賀市内の「近代化遺産」分布調査を三分の二まで完了した(但し、防衛施設庁管理下施設は除く)。その結果、年度末までに500件余の所在を確認し得た。現在判明したものを個別・全体に評価したところ、単に調査数量の多いだけではなく、日本の近代化初頭に位置する質的に高いものと、明治・大正・昭和各期の高度なレベルの技術が集中して注がれた地域である特性が窺われた。これらの点は、この地域調査を日本全国の中でも近代化遺産の指標とするに充分なものといえる。 また、個々の物件のみならず、地域ゾーン全体を近代化遺産とするべき課題があり、その中に更に機械類の保護等も課題として浮かび上がっている。一例をあげると、ドックと港湾施設は密接不可分であり、個々の調査の上に全体を見通す調査の必要がある。この点については、9年度のまとめの過程で補遺調査を実施し、より大きな成果になろう。
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