ソ連解体以後、どちらかというと諸民族の分離の側面が注目されているが、本研究では、結合の契機、条件等についても研究を深め、ソ連形成期の1917-24年と、1985年以降(ペレストロイカ後)を主とし、地域としては、ソ連形成を先導したアゼルバイジャンと1924年に民族的国家的境界区分をおこなった中央アジアを中心とした。 3年計画の本研究費によって、国内で開かれた旧ソ連民族にかんする研究会、シンポジウムなどに参加できたが、その他現地も数回訪問する機会があり、あわせて多くの資料の収集や内外の研究者との情報の交換を行った。 1年目は、中央アジアのウズベキスタンやカザフスタンを中心としたが、2年目はそれとともにソ連形成を先導したアゼルバイジャンなどカフカスやCISのロシア連邦以外の諸国のロシア人の問題にテーマを拡大し、3年目はタタルスタンやチェチェニアなどロシア連邦内の諸民族にも対象を広げて、研究、調査を進め、いくつかの報告、論文等にまとめ、発表した。 旧ソ連諸民族分離、結合という大きいテーマの対象として、上に述べたものの他に独立にいたらなかった沢山の小民族にも研究を伸ばし、通常の研究費などで補ってさらに文献類を集め、1年おくれでそれを含めて『ロシア現代史と中央アジア』などにまとめることができた。
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