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本研究は、中緯度地域における旧石器時代の比較文化研究の一部である。広域的な遺跡分布の状況と、個別の遺跡における詳細な遺跡構造の分析を総合的に捉えて、後期旧石器時代の文化の一端を解明する努力を続けている。宮城県内での旧石器時代遺跡の空白地域を主な対象に、遺跡の分布と、当該期の火山灰層の堆積状況を把握するため分布調査を行なっている。県南部の蔵王山東麓では、白石市から蔵王町、村田町にかけて、昨年度に引き続き少人数での踏査を繰り返しているが、後期旧石器の遺跡は発見されていない。通常、縄文時代早期の遺跡が集中している地域には旧石器時代の遺跡が存在するのが通例なので、理解できない状況である。東北歴史資料館考古研究科と連携した県北東部の調査では、河南町関ノ入遺跡で、北上川流域では初の中期旧石器を発見した。県中部・北西部の丘陵地帯に集中して存在する旧石器時代遺跡であるが、県内の従来調査密度が薄い地域を重点的に探索しており、火山灰層の堆積状況も次第に明らかになってきた。個別遺跡の分析では、新潟県荒屋遺跡の遺物の整理と石器の使用痕分析に、補助金を使用した。東北大学考古学研究室が継続的に進めてきた旧石器時代研究の一環であり、細石刃の使用痕の観察データなどが整備された。広域的視点から、岩手県、関東地方の出土石器の資料調査を行い、また比較文化的な資料研究をもさらに進めるため、情報処理システムの整備を行なった。
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