(1)日本出土冠の調査研究 (イ)調査報告書等から資料収集(九州・四国・中国地方まで完了)。福岡・香川・愛媛で計6例の新資料を発見し、他の4例を含めて実測調査。 (ロ)香川・観音寺市鑵子塚出土資料の分析調査を実施(蛍光X線)。 (ハ)京都・椿井大塚出土の“鉄製冠"は冠か宵か確定できなかったが、類似した4例の垣輪の検討によって4〜5世紀に“日本最古の冠"の位置づけが可能となりつつある。 (2)韓国出土冠の調査研究 (イ)伽耶・百済出土冠の検討によって、大和朝廷による地方支配の標章となったと考える二山式帯冠の素型が、五世紀第4四半期に伽耶西辺域(咸安が晋州と推定)で成立した蓋然性が高いと判明した。 既報告の新羅冠の成果とあわせて、伽耶では5世紀前半に各小国で特色ある冠が出現するが、5世紀後半〜6世紀前半には東辺域は新羅冠、西辺域は百済系の冠の強い影響を受けたことを明らかにした(1996年春に出版予定)。
|