本年度は、中世小説『岩屋物語』『海女物語』『一本菊』『七夕』『時雨』『若草物語』『伏屋』の各作品につき、諸本の調査・本文の比較・校合、挿絵の異同等を実施に調査することを中心に、研究を行った(調査・研究旅費)。具体的には、次の通りである。 (1)神宮文庫所蔵図書の調査・・・同文庫所蔵の『伏屋の物語』について、写本を閲覧し翻刻と行った。併せて、関連の伝本を披見し、本文の影印を入手した(複写費)。 (2)神宮微古館所蔵図書の調査・・・同館所蔵の『別本あめわかみこ』を閲覧し、挿絵の一部を写真撮影した。また、書誌的事項について、館長から、情報を入手できた。 (3)東京大学附属図書館・・・同館所蔵の中世小説資料の調査・複写を行った。 (4)東京大学文学部図書館・・・同館所蔵の中世小説資料の調査・複写を行った。 (5)天理大学附属図書館・・・同館所蔵の『海女物語』『一本菊』『しぐれ』の原本の閲覧・翻刻・校合、必要部分の複写をし(複写費)、関連の資料の収集を行った。 (6)国文学研究資料館・・・同館所蔵のマイクロフィルムで、複写が許可されていないEの分類に属する『若草物語』『岩屋物語』『時雨』の翻刻を行い、本文を入手した。 (7)国立国会図書館・・・中世小説の関連資料について、調査・収集した。 (8)熊本大学附属図書館・・・北岡文庫(永青文庫)所蔵『岩屋物語』の調査・撮影を行う予定(三月十日) 以上の調査によって、『七夕』(七夕系)について、現段階での研究の達成について整理することが出来た。また、『岩屋物語』の祖形について、見通しが出てきた。さらに、本文・内容の比較考察用に、図書を購入し(設備備品費)、前年度購入予定で、購入を延ばしていたカラー・プリンターを挿絵の考察のために購入した(設備備品費)。
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