平成七年度は主として『和歌一字抄』のデータベース作成のための基礎的研究を進めた。 データベースを構築するために、先ず底本について検討し、増補本系統の諸伝本の中から現在善本と考えられている宮内庁書陵部所蔵本(函架番号150・653)を底本としてデータベースを構築することにした。 次に和歌本文ファイル作成のための基本的方針について検討し、研究を進めた。 一つの伝本について底本に忠実に翻字した底本本文ファイルと、仮名遣い、用字法などについて検討した校訂本文ファイルの二つのファイルを作成して、この二つのファイルが随時対応できるような形態の和歌本文ファイルにする方法によって進めることにした。 底本本文ファイルは、底本に忠実に翻字することを基本方針として作成した。しかしながら、検索方法について検討しながら作成した校訂本文を検索した際に歌題、集付などを付加する場合、底本の形態をどのように対応させながら表示したら良いのか検討課題となっている。 校訂本文ファイルは、用字法、仮名遣いなどについて補訂したが、和歌本文についての校訂は進展中である。複合検索を進めるために歌題、歌人名などについて最良の入力形式について研究・検討を進めた。その結果、検索結果に随時和歌ごとに標目、歌題、歌人名、集付を付加することが可能になった。 さらに、このデータベースをより多くの研究者に供するために、実験的試行方法としてホームページに開設するために検討を重ね、現在開設中である。(URL http://oshan. shinshu-u. ac. jp/ljisyou. html) 猶、伝本の所蔵者である宮内庁書陵部には和歌本文の電子媒体出版に関して許可申請中である。 これら一連のデータベース構築の研究とともに、和歌本文について研究では、散見する和歌配列の混乱を補正するための研究も進めている。
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