平成8年度は、『和歌一字抄』のデータベース作成のための基礎的研究を更に発展的な段階において進展させてゆくことは自明のこととして、なんといっても伝本を所蔵している宮内庁書陵部に、電子媒体出版による和歌本文の翻刻についてご理解いただき、認可を受けることを主眼として研究を進展させるように努めました。 宮内庁書陵部から和歌本文の翻刻許可を受けないことには、この研究そのものが成立しなくなります。 しかしながら、従来和歌本文の翻刻に関して許可された申請は全て活字による翻刻であって、この研究のように公開の方法が電子媒体によるものは、申請そのものが初めてでした。 宮内庁書陵部が所蔵する伝本について、電子媒体による公開がなかなか理解されにくいのは、所蔵元の責務として、伝本の内容が和歌本文の翻刻者の翻刻形態をデータベース使用者により改竄されることを危惧したためであると考えられます。そのため、翻刻申請方法そのものについても検討を重ねる必要がありました。 慎重に検討を重ねるとともに、先学諸氏よりご助言を賜り以下のような項目について列記する方法で申請いたしました。 1 翻刻出願図書 2 出版方法 3 公開方法 4 データベースの名称 5 データベースの概要 6 データベース公開ホームページURL 7 データベース構築代表責任者 伝本内容の保持については、「5 データベースの概要」の中で「全ての内容を外部からコンピューターを通して入手すること(ダウンロード)はできないようにして作成してあります。」と明記することによって理解を求めました。 こうして、電子媒体による和歌本文の翻刻許可を宮内庁書陵部よりいただきました。 宮内庁書陵部には、電子媒体による翻刻許可の謝辞とともに、本件の申請が契機となったことも付記して厚く御礼申し上げます。
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