平成9年度は、本研究計画の最終年度になる。そのため3ヶ年間の研究成果をまとめることに主眼を置いた一年間となった。 その中でも特に、『和歌一字抄』データベースをホームページ上において公開するための方法と、ホームページ上で公開することに伴って生ずる必要事項について検討した。 従来、活字によって研究成果を公開する場合、対象作品の伝本について研究した後、その成果によって善本を決定し、その善本の所蔵元の翻刻許可申請が認可され活字本として公開された。そして、翻刻の許可をうけたことは研究成果の中に研究者の報告事項として記述される方法が一般的であった。 しかし、本研究ではホームページ上において公開する方法であることから、伝本の所蔵元より送付された許可証を、画像として格納して随時閲覧できるような方法で公開することにした。電子媒体による出版方法がもたらした成果の一つであると思われる。 そして、ホームページ上において公開することから、ホームページの表紙に相当する部分に所蔵元である宮内庁書陵部から翻刻許可を受けたことを明記した。 また、このホームページの表紙の部分を作成することにより、翻刻許可証の画面、検索ができる画面などを選択できるようになった。 更に、検索方法についても従来の方法の改善や、いくつかの新しい検索方法について研究を進めた。伝本の中に散見する集付の検索も可能となった。 猶、以前より本データベースの作成については研究協力者であり、私自身専門的知識の供与を受けていた信州大学工学部助教授半田志郎氏に、本年度、研究分担者として本研究に参加していただいた。本データベースのホームページ上で公開するための方法については共同で研究を進めながら、半田氏は特に伝本を画像として格納する方法と、データベースの検索プログラムに関する研究を進めた。
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