今年度の研究成果として以下の点を報告する。 1禁裡本の諸目録の統合とその史的分析 今年度も近世本朝書籍目録・仙洞御所目録・東山御文庫禁裡蔵書目録・同御蔵書目録・同御文庫目録に登載される典籍の情報のデータベース化を行っている。館蔵の二十数万点のマイクロフィルムのデータと国書綜合目録統合版の完成に伴い、多量の古典籍の奥書・刊記などを、比較的簡便に検索照合することが可能となった。 2禁裡周辺の公卿家の図書目録の収集 今年度はとくに禁裡に近い公卿家の図書目録の収集とその分析に努めた。まだ充分とは言い難い。 3室町最末期の禁裡を中心とした京都に於ける書籍の定点的記述 近世前期の禁裡の書籍の系譜を知る上で重要な、中世後期から近世にかけての重要な古記録を選び、書籍の書写・贈与・貸借に関する情報を抽出して、データ化を行っている。室町江戸時代の禁裡に於ける古典籍の収集と書写を、ある年に限定して定点的に記述する方針で試行している。
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