「弘前藩庁日記」は、弘前藩の藩政日記であるが、寛文から幕末におよぶ全4500余冊(「江戸日記」1219冊、「在国日記」3297冊)という膨大なものである。 本研究では、この資料より歌舞伎・浄瑠璃の記録を抽出し学界に紹介するとともに、近世芸能史の研究分野に「座敷芝居」というジャンルを加えることを提唱し、具体的には次の実績をあげた。 (1)弘前市立図書館蔵「弘前藩庁日記」江戸日記のうち、寛文から元禄期まで211冊を調査し、65件の歌舞伎・浄瑠璃の上演記録を発見した。 (2)抽出された芸能上演記録をコピーし、これの翻刻を行った。 (3)弘前市立図書館蔵「弘前藩庁日記」御国日記のうち、寛文から天和期まで125冊を調査し、8件の歌舞伎・浄瑠璃の上演記録を発見した。 (4)抽出された芸能上演記録をコピーし、これの翻刻を行った。 (5)東京大学資料編纂所所蔵の宗家文書をはじめ、各地の藩政史料を調査し、同種の芸能記録の発見につとめた。 (6)上記の成果に基づき、以下の学会発表を行った。 平成8年1月20日演劇研究会「座敷芝居の経済-その1-」 平成8年4月24日近松の会「座敷芝居の経済-その2-」
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