エスニック女性、特に日系、中国系、アフリカン・アメリカン、ネティブ・アメリカンの女性による創作(主に小説)や批評に関する情報、及び母娘関係についての主として英語圏の研究に関する情報をMLA International BibliographyやDissertation Index等のデータベースで収集、それらに基づいて独自の文献表を作成、また実際に文献を集め、研究を開始した。なお文献に関しては入手しにくいもの、入手に時間がかかるものなどもあり、現在も収集を同時並行して行っている。現段階では中間的な成果として、日系女性作家ヒサエ・ヤマモトの短編小説に描かれた母娘関係についての論文を完成させた(研究発表の欄参照)。その他、黒人作家トニ・モリソンに関して学会発表をおこなった(新英米文学研究会、1996年1/28)。さらに97年6月におこなわれる日本アメリカ文学会東京支部例会、日本アメリカ学会全国大会において、中間的な成果を、主にトニ・モリソンの作品に見られる母娘関係、ジェンダー、エスニシティに関して発表する予定である。以上のような活動と共に、日本国内の諸研究者やアメリカ合衆国の研究者(アメリカ文学、女性学関係)と意見交換を行い、助言等を得て、研究発展に役立てた。研究全体の成果としては、ネイティブ・アメリカンの作家レズリ-・シルコウ、黒人作家トニ・モリソン・中国系の作家マキシン・ホン・キングストンを中心として、ジェンダーとエスニシティの相互作用について、主に母娘関係の視点から考察する論文を執筆する予定で、現在準備を進めている。
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