本研究はメルヴィルの使用したハイフン付き複合語の量の多さと複合語の内部構造の多彩さに興味をもち、複合語使用と構造の多彩さがメルヴィル独自の英語表現あるいは文体を特徴づけるものであるかを明らかにすることにあり、ボストン版シェ-クスピア全集に見られるハイフン付き複合語との内部構造の異同の比較を試みた。また、メルヴィルの複合語の使用が19世紀アメリカ英語に広く見られる時代的な特徴なのかを調べるために、本年度はメルヴィルと同時代に出版されたテキストとして、1899年(1858年初版)に出版された、R.W.エマ-ソン著作集、Emerson's Works(全12巻)を購入し、複合語を意味と形態から調査中である。また、同様に影響を受けているボストン版ミルトン全集(1844年)の一巻を東大図書館が所蔵していることを発見し、これも同様の方法で調査中である。その他、本年度は入手困難とされているA. M. Ball著、Compounding in the English Language (1939)を入手して、複合語使用の歴史的研究にも着手して本研究の妥当性に配慮した。
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