研究概要 |
稲田は、Boyhood,Growing Up Male(Franklin Abbott編)や『1960年代のアメリカ』『1970年代のアメリカ』などを計画通り購入し、現在シルヴィア・プラスの小説にみられる思春期の少女像の分析に入っている。吉田は、通信費を使って文部省学術情報センターのデータ・ベースに頻繁に入り、国内外の研究機関での資料の特定及び収集につとめてきた。また、緊急に必要な資料やアメリカ文化センターのCD-ROM利用による資料については、旅費を使って各研究機関に出張して収集した。男性学、男性心理学、思春期の心理学に関する書簡、思春期の男女像を描いた映画のビデオの購入も予定通り進み、作品の背景の研究に使用することができた。平成七年度に、吉田は、『欧米文化研究』第二号(広島大学大学院社会科学研究科紀要)に、「思春期小説The Man Without a Faceにおける『男らしさ』の研究」を、『人間文化研究』第四号(広島大学総合科学部紀要)に「思春期小説にみられる『男らしさ』と権力--Robert CormierのThe Chocolate Warの場合--」を発表した。また、『日本児童文学』(日本児童文学者協会・文溪堂)四月号に「老人と子どもが『森』で出会うとき」を発表予定である。大学院生も含めた毎月一回の研究会により、知見は深められたが、学術上の問題としては、アフリカ系、アジア系、白人の若者像にみられる人種的差異、さらには異性愛者、同性愛者の若者の性アイデンティティにおける心理学的・社会学的考察など、多様な文脈な中で作品分析をする必要性も感じられた。
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