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17世紀末から18世紀の近代市民社会成立期に、イギリスではジャーナリズムが世論の形成に重要な役割を果たすようになった。なかでも新聞『スペクテーター』は女性の知的・道徳的向上と社会の改良を目指した新聞として注目されている。今回この『スペクテーター』を中心として、その前身の『タトラ-』および18世紀半ばの新聞『フィーメール・スペクテーター』などの女性論を取り上げ、比較研究した。女性論の中でも女性と読書および会話に関係するテーマを中心に調べたが、女性のための大学教育をすでに18世紀初期に構想していたメアリ-・アステルについても文献収集を始めることができた。アステルに関しては、ロックやフェヌロン、プ-ラン・ド・ラ・バ-ルなどの女性教育論と比較しながら、その女性教育プランの独自性について研究を続けることが望まれる。また新たに入手した17世紀末の新聞『アゼニアン・マ-キュリー』の研究により、アステルと同時代にも女性の知的向上を支持する考え方がイギリスにあったことを明らかにすることができた。『アゼニアン・マ-キュリー』の研究はまだ着手したばかりであるが、文学および科学思想史上も興味あるこの新聞について、さらに研究を深めたいと考えている。このように17〜18世紀を中心として、女性の本質、社会と家庭における位置、女性教育、子育てなどさまざまな分野にわたる女性論の収集と研究を今後も続け、将来の史的・文学的研究の基礎を作りたいと考えている。18世紀女性論の研究は現代社会の女性問題の源流をたどることにもつながり、その現代的意義は大きい。
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