平成7年度及び8年度の2カ年にわたり、ホ-トン・フット、サム・シェパ-ド、ランフォード・ウィルソン、オ-ガスト・ウィルソン、ロバート・シェンケン、トニ-・クシュナーなど、サイクル、あるいは連作劇を発表している戦後のアメリカ劇作家を中心に研究を進めてきた。背景研究として、イギリスの古典・現代演劇の三部作サイクル、連作劇も多く比較考察した。最終的には、ユ-ジン・オニールが構想しながらも感性に至らなかった、アメリカ二百年の歴史と命運を共にする一族を描くサイクルに連なる現代のアメリカ演劇作品に焦点を絞った。研究成果は研究書として出版する準備を進めており、現在草稿は下記の章を含む。その多くは学術会議などで発発表したものをさらに敷衍し深めたものである。平成9年度は、コ-ネル大学英文科に客員研究員として滞在し、最終的な資料整理、出版原稿の完成を目指す。 序 ユ-ジン・オニールのサイクル:アメリカにおけるアイルランド家族の歴史 第1章 ホ-トン・フットの『孤児院サイクル』:テキサスの家族サイクル 第2章 サム・シェパ-ドの家族劇三部作:繰り返されるイメージと結末 第3章 ラン-フォード・ウィルソンのダリ-一族連作劇:ポスト・モダンに向かう家族 第4章 オ-ガスト・ウィルソン:アフリカン・アメリカン家族を結び付け繋げるもの 第5章 ロバート・シェンケンの『ケンタッキー・サイクル』:三家族の歴史にみるモラルの選択 第6章 トニ-・クシュナーの『エンジェルス・イン・アメリカ』:ポスト・モダンの家族像とアメリカの未来 結び 家族史と社会史:心理劇からアメリカ史へ
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