平成7年度は、主として、アメリカ植民地時代におけるピューリタニズムの役割を、精神史的、文学史的に研究した。この際に、コットン・マザ-の著作を筆頭に、可能な限りの資料・図書にあたったが、とりわけ、ジョン、ウィンスロープの『日記』がアン・ブラッドストリートとの関連で、サミュエル・スィーウォールの『日記』や『手紙』がエドワード・テイラーとの関連で精査した。また、近年、ピューリタニズム関連の文献、特に信仰告白をめぐる資料の読み直しが盛んであるので、これらの文献も可能な限り入手し、その調査・分析を行った。 7月から、パソコンを利用して、資料・図書に関するデータの入力に着手した。 夏期休暇中には、ある機関の招きでアメリカに短期滞在する機会を得たので、宗教関係の蔵書では定評のあるミネソタ州セント・ポールのベセル大学でピューリタン関係の資料に当たった。 11月には、神戸女学院大学や同志社大学で資料を収集した。同時に、本申請者は、日本の他の教育機関に所属する研究者との研究会や読書会に積極的に参加している。 平成7年度末までの中間報告として、アメリカン・ピューリタニズムのなかのエドワード・テイラーの位置に関する研究をとりまとめ、「アメリカの暗い情熱--エドワード・テイラー再読」と題する論文で、渡辺利雄編『読み直すアメリカ文学』(研究社、1996年)に納めた。また、日本の現代詩が英米詩から学ぶものは何かという視点から、「寂しい海に囲まれて--現代日本詩への希求」という題で論文をまとめ、『幻実の詩学』(ふみくら書房、近刊)に発表する予定である。
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