研究概要 |
本研究はスピーキングテスト開発に取り組んだものであり,9つの特性(語り,文法,発音など)がスピーキング能力を構成する妥当かつ弁別的要素であるかどうかを多特性・多方法(MTMM)法により明らかにすることを目的とした。 研究結果は次の3点に集約できる。1.スピーキング能力においては直接コミュニケーション能力と半直接コミュニケーション能力は異なる能力であることがわかった。2.9つの特性は直接コミュニケーション能力と半直接コミュニケーション能力においてそれぞれ異なった働きをもつと考えられる。本質的には直接コミュニケーション能力の文法力と、半直接コミュニケーション能力の文法力とでは異なった特性をもっており、このことは9つの特性すべてにわたって同様のことがいえる。3.直接コミュニケーション能力と半直接コミュニケーション能力はいずれも他のものの代用によって測定されることのできないコミュニケーション能力全体の重要な部分を構成していることが明らかになった。従って,多肢選択テストや筆記テストのみならず,スピーキングテストにおいても直接テスト・半直接テストなど,できる限り多方面からの測定を行い,学生の能力の公平かつ正確な評価をすることが望まれる。 今後の課題としてコンピュータを利用したComputeri2ed Adaptire Speaking Testのような簡易で正確なテストの開発も時代の要求となろう。
|