フランス第三共和国における〈近代的言語態〉の発明と〈国民国家〉との関係に関する本研究は、平成7年度における言語態分析にもとづくメディア研究・近代性批判の理論の探究という理論面での成果を踏まえ、平成8年3月から4月上旬にかけてパリ第8大学フランス文学科博士課程においておこなわれた集中講義「文学的近代の理論的フロンティア」においてフランス第三共和国のみならず日本近代国家と言語態の発明の問題として「近代の複数性」に関する一般文学理論へと発展し、フランス高等師範学校における講演「マラルメとメディア」やリヨン第3大学での講演「理論的オリエンタリズム?:言説の場としての〈日本〉」など、「国民」、「国民国家」と「メディア」および「文学」の諸言語態との真に国際的な共同研究の提起へとつながった。パリ第8大学での講義は、講義録というかたちでまずパリ第8大学から出版され、さらに民間出版社からの刊行の準備に入っている。さらに、平成8年11月には、「モダニティ」についての文部省・東大国際シンポジウム「世紀の転換と〈モダニティ〉の構造変容」を実行委員長として開催。フランス第三共和制において問われた〈モダニティ〉の問題をメディアの分析としてどのように理解するかというwo問題踏まえつつ、あらたなモダニティ国際共同研究を提唱するにいたった。以上を踏まえて本年度以降分析の深化と理論化の推進、国際共同研究の拡大をめざすこととになる。
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