平成8年度の研究計画には以下の課題をかかげた。 (1)リゾートにかかわる身体的実践としてのスポーツ。 (2)旅行着およびリゾート・ウエアの誕生と衣服のカジュアル化。 (3)十九世紀の交通の歴史上画期的な鉄道開発と汽車旅行を中心とした、自転車、自動車、飛行機にいたる交通の歴史とツ-リスムの文化史。 (4)リゾートとオリエンタリズムの文化史的関連。 (1)(2)(3)については、予定通りの研究成果をおさめたが、(4)の課題に関しては、研究を進めるなかで、フランス帝国主義および植民地の問題が深く関連していることがわかり、この項目に予定以上の研究を割くことになった。また、その研究のなかで、1889年、1900年のパリ万国博とリゾートの文化史の関連も明らかになった。 さらに、研究計画にかかげなかったが、リゾートという現象には「土地のモード化」と「高価格化」がかかわっていることが新たな研究課題として明らかになった。 このため、8年度に予定していた4回の雑誌連載による研究成果発表の予定を延長して5回の連載とし、5回目の研究成果発表をこの課題にあてた。
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