◆「ドイツ語基本ドイツ動詞(約1300語)」は、まず、形態的観点(「単一動詞」か「複合動詞」か、また後者の場合、どのような「接頭辞」によるものかなど)から、約700の単一語と約600の複合動詞(それもいくつかの接頭辞に限定されている)からなるという分析結果を得た。このことより、「統語的意味的生成メカニズム」の解明には、約700の単一語の意味分析と、いくつかの「複合動詞化」規則の抽出という2側面からのアプローチが適当との判断に達した。 ◆単一語約700の意味分析の手始めとして、「移動」を意味用法として持つ約30の動詞を取り上げ、意味的観点(「移動」か「行為」か「変化」かなど)から分析した結果、それらの「語義的展開(比喩的用法も含み)」に高度の規則性が存在することを実証した。なお、これは、現実界の出来事の言語化に認められる「スキーマ的展開」の一モデル提示という重要性も持つ。 ◆複合動詞約600の意味分析の手始めとして、分離接頭辞約10の事例整理を行いつつ、分離接頭辞と基礎動詞との意味的関係を部分的に分析した結果、「文意味構造」の形成における基礎動詞と分離接頭辞との意味的関わりは、単なる「加算的」なものだけではなく(意味構造の規定という場合も含め)、「複層的な」ものも想定すべきであるとの結論に達した。これは、「特殊化」に伴う「重複」現象と言える。 ◆結論的に言えば、「統語的意味的生成メカニズム」の抽出という最終目的に達するための大きな枠組みを確立しえたという点が今年度の大きな成果である。
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