◆ドイツ語の「統語的意味的生成メカニズム」に関する理論的整理を行うために、(1)現実界と表現内容、(2)文意味構造と構造的意味特性、(3)文意味構造と統語構造、(4)統語構造の自立性、(5)統語構造と動詞と文意味構造の関連、(6)言語表現の容認性、に関して考察を行い、次のような知見をペ-パ-にまとめた:第1点:表現内容には、一般性の高い構造的特性を持つ項が想定され、また、それぞれの項がどのような構造的特性を持つかは、その都度の表現意図に基づく。第2点:表現内容には、一般性の高い意味構造が認められる。第3点:文意味構造と統語構造の間には規則的な対応が認められる。 第4点:どの統語構造が用いられるかは表現内容の文意味構造に基づき、一方的に動詞に従属するものではない。第5点:統語構造と動詞は、文意味構造の表示にとって相互自立的である(特にこの点については、語義は複合的である、動詞は常に第一義的な役割を果たすわけではない、動詞と統語構造の間に一定の結合規則が認められる、創造的な結合も可能であることも示した)。第6点:動詞と統語構造の結合は、最終的に、容認性のレベルで判断される。 ◆最終的報告書をまとめるために、従来の研究成果を整理しつつ、基本動詞約1300語(300語追加)に関する分析データーの入力を引き続き行い、特に、移動動詞に関する分析を行うための実証的データも可能な限り収集した。 ◆結論的に言えば、平成9年度の最終報告「ドイツ語の統語的意味的生成メカニズム」を作成するための基本的準備がほぼ出来上がったという点が今年度の成果である。
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