研究概要 |
1.ビュルガ-を、「才能と評価」、「才能の消耗」、「女性関係」、「詩に現れた女性像」という四つの視点から検討するためにはその伝記的研究が優先されるべきだと考え、おもに彼の往復書簡集と、これまでに書かれたもっとも詳細なビュルガ-評伝であるWolfgang von Wurzbach,Gottfried August Burger,Leipzig 1900.の記述を検討し、主要な問題点を明らかにした。 2.以上の問題点をいわゆる「風俗史」との関連からあつかうために、ビュルガ-が生きた啓蒙主義時代の生活、風俗について知見を深めた。それには、ドイツにおける歴史学のもっとも新しい成果であるRichard vanDulmen,Kultur und Alltag in der Fruhen Neuzeit.Bd.3:Religion,Magie,Aufklarung.Munchen 1994の翻訳作業が有益であった(近刊、鳥影社)。 3.わけてもフリーメイスンの思想とビュルガ-の生活・作品との関係を明らかにすることは、本研究の眼目の一つでもあり、平成七年度はおもに設立当時のフリーメイスンの思想について文献調査を行った。その結果、従来からフリーメイスンとの関係が明らかであった。“Das Lied vom braven Manne"や三篇のフリーメイスン支部における講演記録だけでなく、たとえば“Die Elemente"のような詩もフリーメイスン思想との関連から読うることが明らかになった。しかし、フリーメイスンは当時設立された各種団体、結社、科学アカデミーの一つとして、相対化してとらえるべきものであり、フリーメイスンだけを特殊化しすぎてはならないことも明らかになった。来年度は、ビュルガ-の生活と作品、啓蒙期の生活・風俗、フリーメイスンの三者の関係を、より具体的に明らかにする作業に取り組みたい。
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