常人は従来日本にある朝鮮古刊本の調査と測定を行って来た。 平成7〜9年度もその延長として、京都大学図書館・大阪府立図書館・天理図書館・東京大学図書館・国会図書館・駒沢大学図書館・慶応大学図書館・成笠堂文庫・對馬享家文章・山口県立図書館等で調査を実施した。特に国会図書館・駒沢大学図書館・成笠堂文庫では従来知られていなかった基本を多く発見した。 朝鮮本は殆ど刊記がないため刊年・刊地未詳書が多い。従って、分化史上におけるその役割を位置づけることが出来ない。ところで肝心部にある刻工名は、刊年・刊地の決定に大きな役割を果たす。今回の研究の成果として17世紀刻工名集を作り、刊年・刊地を客観的に判定する手掛かりを作製した。今後、17世紀以外の刻工名集をも作り、朝鮮本の刊年・刊地決定の科学的な判定法を確立したい。
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