研究概要 |
1.研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地理学的データ処理システムSEALを開発、その後も機器の進歩に対応するためにシステムの改良を進めた。平成6年度までに、MS‐DOS版BASICのコンパイラ版に移行し、バッチファイルをつくる、データファイルをエディタ-で読める形(CSV形式のテキストファイル)にするなど大幅な改定を進めた。この結果、Version4.3では、BASICを知らなくてもSEALを動かすことが可能となり、すでにテキストファイルとして入力済みのデータなどもSEALで分析することが可能になった。同時に、実際の方言データへの適用について研究した。これらを受けて、今年度は以下のように研究を進めた。 2.パソコンによる言語地理学データ処理システムSEALの改訂・整備を進めた。言語地理学資料および分析の経過・結果の全体を一つのデータベースとして構築していくために、フロッピィディスクを標準としたシステムから、容量の大きくなったハードディスクを活用したシステムへと移行し、周辺機器やソフトを整備した。 3.SEALを用いて実際の調査資料の分析を進めた。 3‐1.ドイツのW.フィアエック氏に提供を受けたイングランド方言データのSEALによる分析を行った。特に標準語形の分布に注目して複数項目の重ねあわせを行い、調査地域の言語状況を総合的に把握することをめざした(Fukushima,Forthcoming)。東京外国語大学の井上史雄氏との共同研究においては、福嶋がSEALによる集計を行い、その結果を井上氏が別のソフトで処理し、その結果を福嶋がSEALで再地図化した(Inoue and Fukushima,Forthcoming)。なお、これらは、現在フィアエック氏を中心に印刷準備中のThe Computer Developed Linguistic Atlas of England 2のために執筆された。 3‐2.日本語方言資料(徳之島方言資料など)の入力と分析を継続して行った(福嶋、近刊)。
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