研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地理学的データ処理システムSEALを開発、その後も機器の進歩に対応するためにシステムの改良を進め、平成6年度には、MS-DOS版BASICのコンパイラ版に移行した。この結果、version4.3では、BASICを知らなくてもSEALを動かすことが可能となり、すでにテキストファイルとして入力済みのデータなども分析することが可能になった。 本研究の1年目は、言語地理学資料データベースの構築に向けて、フロッピィディスクを標準としたシステムから、ハードディスクを活用したシステムへと移行し、周辺機器やソフトを整備した。2年目は、WindowsでSEALを動かせるようにするために、Visual BasicによりSEALのプログラムを書き換える作業に本格的にとりくんだ。そして、最終年度の今年、SEAL version5.0 for Windows95が完成したので、報告書として最新版のSEALのマニュアルを出版した。この改訂によるメリットは多々あるが、操作性の向上、DOS/V機で使用可、既存のソフトとの連携容易、地図のカラー化、印刷の精緻化などが主なものである。このSEALのプログラムをインターネット上で公開するためにホームページを作成した。http:/www.nicol.ac.jp/〜fukusima また、方言学・言語地理学に関する文献を購入・研究するとともに、日本語・英語の方言資料の分析を進めた。国際方言学者会議でSEALを使った言語地理学の分析法について発表を行った。ドイツのバンベルグ大学のフィアエック教授に提供を受けたイングランド方言データ(CLAEデータ)をSEALを使って分析した論文を執筆し、出版された。
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