お茶の水女子大学家庭経営学科の卒業生(A)と福島県の農業女性(B)に関する中間的な調査結果を述べる。数字は、最終的には動く可能性がある。 (1)夫と自分の資産の割合--自分の資産の割合が0であるとするものは、Aが62%、Bが64%でほとんど変わらない。しかし、Bにおいて資産を持つもののうち、圧倒的な部分が地方公務員など常勤の職業を持つ者であり、これについてはAと性格を同じくすると考えられる。 (2)不動産の所有--自分名義の不動産をもつ者は、Aにおいて21%、Bにおいて22%であり、この点でも両者は類似している。内容を見ると、Aにおいては、親の贈与プラス自分の収入による取得と自分の収入による取得がほぼ同じで全体の大半を占める。Bにおいては、親からの相続による取得と自分の収入による取得がほぼ同じで、これまた全体の大半を占める。Bにおける自分の収入による取得は、常勤の職業と結び付いているから、違いは、Aにおいては親からの贈与の援助があること、Bにおいては家つき娘の相続によることが分かる。 (3)資産形成意識---A=共働きにもかかわらず資産名義は夫であることへの不満や、自分の収入が子の教育費に支出され資産形成つながらない不満がある反面、自分名義の資産形成に努力し、自分名義にならない場合は自分の収入を当てないという例もある。B=夫も自分も無資産で財産は義父名義であるという訴えや、いくら農業に従事しても資産につながらない悩みがあり、現在国の政策にとりいれられた家族経営協定による資産形成の可能性に期待がある。しかし若い世代の常勤の女性は、資産づくりに強い意識を持っている。全体として、女性の資産形成にたいする意識は徐々に強くなりつつある。
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