1.バルト海周辺地域における最近の統合動向の明確化を目的とする本研究から得られた成果は、次のように概略することができる。 2.第1に、バルト地域統合の基盤は、歴史的には、バンザ同盟の時代にまで遡ることが明らかになった。第2に、機能的には、バルト海自体が、覇権の場であったと同時に、「マ-レ・バルティクム」として、バルト地域アイデンティティーの形成に役立っていることが証明された。第3に、バルト・アイデンティティーを具体化し、バルト海地域における協力促進のために、政府間機構としての「バルト海諸国審議会」とその他多くの民間機構、例えば都市間機構、商工会議所機構、環境保全機構等が構成されているということが実証された。 3.北欧・バルト統合の諸相を多面的に実証研究し、その実体が明確になった。これらの諸相は、法的側面、文化的側面、経済的側面、環境的側面および安全保障的側面を含むものである。これらの研究から得られた北欧・バルト統合の実体は、EU(欧州連合)の場合とは全く異なって、基本的には、北欧協力に見られるようにあたかも蜘蛛の巣のように多面的かつ広域的に張りめぐらされたネットワークから構成されているものであり、限りない発展を秘めていることが明らかとなったのである。
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