本研究の初年度は1994年に行われた総選挙後に成立した制憲議会を中心とした憲法草案づくりの経過について考察した。その中で1995年11月に中間報告的に議会が発表した憲法草案について、1994年の暫定憲法と比較しながら、その分析を行った。憲法草案は14章182ヶ条で構成されており、まだ随所にoptionがあり、流動的な条項も多かった。しかし暫定憲法から継承されている部分も多く、大筋は新憲法の骨組みがきまった草案ということができる。 第二年度に入ってからの研究は、中間報告として議会が発表した草案が1996年11月に正式の憲法として議会によって可決されて、1997年2月に公布されるまでの経過について考察した。この手続中に重要であったことは11月に議会が可決後、憲法裁判所が部分的に無効判決をしたことであった。このため再度国会で審議がなされ、12月に再提出可決された。最終的には、1997年2月の国会において正式に大統領により報告され、公布された。 このような一連の憲法制定の経過を追跡するのが、この2年間の研究の主たる作業であった。第三年度には、このような作業に関連して、草案作成にあたった国会内に設置された国会議員で構成する各種委員会の活動状況を分析した。そしてさらに、新憲法が実際に制定されてから以降、マンデラ大統領のもとで、人種協調社会を建設するための新憲法の役割、効果について考察をすすめた。
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