この研究は:南アフリカ共和国の1993年に制定された暫定憲法から、1996年に制定された現在の新憲法までの憲法事情の研究であった。 南アフリカ共和国は1994年4月に暫定憲法にもとづいて、制憲議会の総選挙が行われた。この選挙は南アフリカで、アフリカ人を含む全人種による初めての選挙であった。そして結果はネルソンマンデラが大統領となり、アフリカ人主導の新憲法制定の作業が始まることとなった。 暫定憲法の制定にあっても民主南ア会議(CODESA)に、さらにこの会議を引きついだ複数政党会議に、政府、政党、団体が参加して、人種協調の憲法制定に努力した。この暫定憲法制定のときの精神は制憲議会において新憲法草案づくりの過程においても引きつがれた。 1999年にはこの新憲法のもとで初めての総選挙と大統領選挙が行われることになっている。この選挙が南アフリカの21世紀に向けての発展の始まりとなるかどうかは、政治経済の安定とともに、アパルトヘイト体制時代の徹底した解消をその内容とした、新憲法体制の安定と確立が最重要の課題であろう。 本研究はこのような将来の南アフリカの状況も考慮に入れながら、暫定憲法制定から新憲法制定までの体制移行の過程について研究したものであった。
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