本年度においては、主として以下の点を中心にして深めた。 (1)都市計画行政における地方自治の位置づけに関わり、地方分権について研究した。その成果は、「新たな地方自治制度の形成--地方分権推進委員会第1次勧告・分権型社会の創造」(『ジュリスト』1997年4月掲載予定)にまとめた。 (2)わが国の都市計画法での開発許可制について、現行法制の基本原理・制度・運用の検討を、特に「開発行為」概念の検討を軸として行い、関西行政法研究会(1996年12月)で報告するとともに、荒秀・小高剛編『都市計画法ハンドブック』(T・H・K、1997年4月刊行予定)に「開発許可制」を分担執筆した。 (3)都市計画法、建築基準法、そして住宅法を関連させて検討し、「住居法の歴史と体系」(早川和男・横田清編『講座・現代居住[4]居住と法・政治・経済』、東京大学出版会、1996年10月刊行)としてまとめた。 (4)震災復興まちづくりに関連させて、次の研究を行った。まず、従来のわが国都市計画法制になかった'住民が共同で住宅再建'するという「合意にもとづく都市計画事業のプロセス」を支援する法制の検討として「住宅共同再建促進法の提案」を日本土地法学会(1996.10)で報告し、年度末にまとめた(『立命館大学震災復興研究プロジェクト住宅復興研究委員会報告書』(1997.4刊行予定)に掲載)。また、復興まちづくりにおける土地区画整理原理の展開、および復興まちづくりプロセスと住宅・都市整備公団など担い手の検討を「復興まちづくりの法制と行政体制」(『同プロジェクト復興対策部会報告書』、1997.3)。
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