(1)開発・建築の許可制はわが国とイギリスで原理的に異なる面がある。イギリスの開発許可制は、まず、その対象においてわが国の開発許可の対象、および建築確認の集団規定の対象を包含する(さらに「重要な利用の変更」を含む)。そして、許可基準として、開発計画および「その他の関連事項」があげられ、きわめて裁量幅の広いものとなっている。しかも、許可条件、計画協定(計画約定)も付される。これらを通じて詳細計画的コントロールがなされるようになっている。また、それに加えて不許可補償もなされないという制度下で、「開発不自由の原則」が基本的には妥当しているといってよいだろう。この広い裁量による許可制の規範性を支えているのは、(i)各ディストリクトのカウンシル(議会)が許可の執行権限も持っていること、(ii)プランナーの専門性、(iii)計画についてのコンセンサスと思われる。これをふまえたわが国の法制の組み立て直しが必用とされる。この点については、現在論文をまとめつつあるが、計画的規制を否定し、経済的手法を導入するべきであるとし、かくして計画的規制の否定論が最近主張されていることについては、「容積率規制緩和の法律問題」(法律時報70巻2号、1998・2)で検討した。 (2)開発許可が裁量性の大きい行政処分であると構成したときの、その決定の合理的を担保するシステムが必用である。特に、そこでは環境影響評価、中でも構想・企画段階からの環境影響評価が組み込まれなければならない。これについては、「今日の環境保護の課題とその手法」立命館法学256号(1998・3)において論じた。
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