本研究は、国際的人権保障における人権の普遍性、不可分性および非選択性が国際人権法上どの程度確立しているかについて、アジア諸国の主張を素材とし、(1)世界人権会議アジア地域会合、(2)世界人権会議、(3)国連アジア・太平洋人権問題ワークショップ、(4)ASEMのような国際会議の場で表明されたアジア諸国の“人権概念理解について分析した。本報告書は6章からなり、その概要は次の通りである。 第1章は、1995年7月に大阪で開催された「国連システムの人権活動とアジア・太平洋地域の人権確立」に関する国際専門家会議における報告ペ-パ-である。アジア・太平洋地域における人権状況を概観し、同地域における人権の伸長と保護に向けた動きを紹介し、人権の伸長と保護に関する同地域諸国の態度を分析し、同地域での人権保障の方法を提示し、これらを踏まえ、同地域に人権保障機構を設置する可能性とその方法や戦略を考察する。 第2章は、冷戦後アジア・太平洋地域で活溌化しつつあろ地域レベルの政府間協議の機会に、政府間で人権問題がどのような文脈で、どのような形で議論され始めているかを分析したものであり、本研究の中心的な成果である。 第3章は、第1章の報告内容を整理し、アジア・太平洋地域における今後の地域的人権保障体制のありかたを展望したものである。 第4章は、アジア地域における人権保障における各種NGOの関わりを明らかに対し、同地域における人権の伸長と保護に向けたNGOの役割と成果を分析したものである。 第5章と第6章は、本研究の中心的課題に関し、「社会発展と人権研究会」で報告したさいの報告要旨である。
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