研究概要 |
FDICが経営破錠銀行の取締役の注意義務違反を理由とする個人的民事賠償請求権を有する拠り所とする。12U.S.C.1821(K)の文言があいまいなところから、取締役の過失基準をめぐって、ユニフォーム・スタンダードとミニマム・スタンタダードの対立が生しっている。多くの学説や裁判所の判断は、後者の立場に立ち、FDICの訴訟権限を広く認める傾向にある。しかし、最近の裁判例の中には、取締役の防衛にも配慮した調和的立場をとるものが見られる。 取締役側の責任についての防衛方法としては、経営判断原則,責任制限・免除規定,補償規定,役員責任賠償保険などがあるが、いずれも決定的に有効な保護装置とはなりえてないなのが、アメリカにおける現状である。わが国においても代表訴訟が増加している現状から、この部分での探究がなお必要である。 また、防衛方法に関して、アメリカにおける寄与抗弁は、検討に値する。平成七年末の金融制度調査会・金融システム安定化委員会の答申を踏まえた、預金保険機構、整理回収銀行の法制が今後整備されていく中で、当局への抗弁に関する分析が重要になるものと思われる。
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