地域活性化政策の近年の方向は、明らかに成熟をみせている。地域の基盤整備の促進という、単なる公共投資政策から脱皮し、新しい方向を産業構造の転換の中で模索している。本研究では、特にリゾート政策と科学技術政策をとりあげた。 リゾート法は(昭和62年)は民活を主眼にした地域開発立法で、その経済効果がおおいに期待された。大規模な施設は全国各地で建設された。代表的な例を調査した結果、その波及効果は限定的である。比較的小規模の初期投資の施設では回収するだけの収益をあげているが、大規模リゾートは集客に困難な状況のものも見られる。かつ、その地域経済及び財政への効果は地域によって相当差があることがわかった。市町村の単位で見れば、一定の役割を果たしているが、広域的には所期の効果が生まれているとは必ずしも言えない。 次に、科学技術を地域活性化に活用することは、比較的新しい。戦後の地域開発の歴史のなかでみれば、テクノポリス法にみられるように、地域産業の振興のための科学技術の水準の向上、地域での研究開発機能が地域活性化の戦略的な課題となってきた。「頭脳立地法」も従来の産業インフラより、ソフト面での優位性を強調した。高度技術をもった人材や地域の科学技術政策の内容が課題となった。成熟化した産業構造を前提にして「多極分散型国土」を形成する戦略として、成果をおさめつつある。科学技術基本法(平成7年)も地域の科学技術政策の位置付けを規定し、公設試験研究機関の整備、拡充、第三セクターの設立、大学、研究所との連携も各地で行われている。研究開発基盤の整備は進んでいるが、地域の差があり、また人材確保など人事面の課題が大きい。なお、その効果を見極めるには時期尚早である。
|