研究課題/領域番号 |
07620052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秦 郁彦 千葉大学, 法経学部, 教授 (50138575)
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研究分担者 |
宮崎 隆次 千葉大学, 法経学部, 教授 (10113870)
YUMOTO Kunio CHIBA UNIVERSITY,FACULTY OF LAW AND ECONOMICS,PROFESSOR (30110688)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 日本観 / 中国観 / 集団 / 政策形成 / 国際関係の構造 / 廬講橋事件 / 日中戦争 / 蒋介石 |
研究概要 |
本研究は、自国観、相手国観の在り方とその変化が、日中の多様な集団の政策形成に、どのように関わるかを総合的に再構築し、政策形成者というミクロの次元と国際関係の構造というマクロの次元を理論的に融合する道を探究することを目指した。 秦郁彦は、廬溝橋事件から戦争までの経過を対象に、紛争を局地的に収拾できなかった理由を、構造的要因と心理的要因の二つに大別して考察した。彼は、明治以来の日本の大陸政策の帰結として紛争を捉らえる構造的要因論を最終的には追認しつつも、相互の誤認、誤算、不信、敵意のような心理的要因に注目し、これらの要素は制御しだいでは「別の選択」がありえたのではないかという観点から分析をすすめた。 その結果、初期の約三週間について、事実経過の復元をほぼ果たした、と同時に、当初の日中双方の「ためらい」、その後の中国側の日本に対する「不信」、戦力の「誤評価」、及び日本側の中国早期屈伏の「誤算」や国民党政権の以夷制夷政策に対する「不信感」、また、ある時点からの「抗日救国」と「暴支膺懲」に象徴される「敵意」を、危機管理を破綻させた心理的要因として取り出した。 湯本国穂は、中国の知識人の中には、徹底した経済的合理性に基づいて戦争能力の建設を計算する態度、或は外交史研究のなかから近代化の遅れを克服すべき最大の課題と考え、不戦を志向する思考があり、これらの者の中から蒋介石に重要な助言を与える者が現れる。従って、高揚する「敵意」に押し流されるかのような顕教が掲げられながらも、中国側では戦力建設と外交において慎重で合理的な密教的思考が展開していたことを指摘した。 本研究は、対象の範囲と理論面の考察という点で、なお進展の途上にある。
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