本研究は、戦後の日本政治を特徴づけた「55年体制」と呼ばれるものは、国民意識の中では実態としては存在しておらず、一党優位体制を支えた有権者の意識と1993年の政権交代を引き起こした有権者の意識とは同一のものであるという仮説を検証しようとするものである。そこで「政治システム支持(system support)」という概念を導入することによって、戦後の変化を包括的に説明できる理論モデルを構築し、そのモデルを実証的に検証しようとするものである。 研究計画では、平成7年度には1989年〜95年の自民党一党優位体制崩壊期の分析をし、平成8年度には1976年〜88年までの自民党一党優位体制確立期を分析することとしていたが、過去2年間の研究成果は、ほぼこの計画に沿って実施できたと思われる。平成7年10月には拙論「『55年体制』の崩壊とシステム・サポートの継続」を発表したが、平成8年度はその分析を1972年まで遡って行なった。平成8年12月には、その成果を拙論「国民意識における『55年体制』の変容と崩壊」にて発表し、1972年〜95年までの日本人の政治意識を分析することが平成8年度には十分に出来た。 また、当初の予定より遅く平成8年10月に55年体制崩壊後初の衆議院選挙が行われ、その前後に日米共同で全国面接世論調査を実施したが、本研究がその準備として非常に有効であったことを記して、謝意を表したい。
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