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1996 年度 実績報告書

貨幣・信用制度の不安定性と管理可能性についての学説史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07630004
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 誠  東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10012121)

キーワード信用制度 / 貨幣 / 不安定性 / 中央銀行 / 政治経済学 / 信用恐慌 / 資本主義経済 / 資本市場
研究概要

本研究は、貨幣・信用制度の不安定性と管理可能性について、戦後の日本に蓄積されたマルクス経済学にもとづく貨幣・信用論研究をふまえ、海外での最近のケインズ派やポスト・ケインズ派における論議をも視野におさめつつ、この分野で手薄な欧米マルクス学派の不十分さを補い、欧米と日本に学史的研究の新展開を促そうとするものである。
こうした課題にそくし本研究はとくにロンドン大学のCostas Lapavitsas博士の協力をえて2年度にわたり実施され、本年度はその最終年度にあたる。本研究の成果は、主として私とラパビツァス博士との英文の共著 Political Economy of Money and Finace(London:Macmillan)にとりまとめられ、印刷用原稿が3月末には出版社にひき渡せるところまで仕上がっている。ついで日本語版の共著もとりまとめ、本研究の成果を国内にも伝えたい。本研究をつうじ、主としてほぼつぎのような諸点があきらかにされたと考えている。
(1)経済学が体系的な発達を開始して以来、資本主義市場経済の中枢にピラミッド的な構造を形成する貨幣・信用制度について、経済システムの効率を推進する役割が各学派によって注目されるとともに、資本主義市場経済に内在的な不安定性をまた集中的に増幅する役割を強調する見解も同時代的にくりかえし示され、重要な論争を形成してきた。(2)これに関連し、国家や中央銀行の責任と裁量の意義と限界についても、対立的な見解が提示され続けてきている。(3)マルクス学派の見地からすれば、貨幣・信用制度をめぐるそうした学説史的展開は、資本主義経済に本来の無政府的な組織性に根ざした貨幣・信用制度の機能の特色を、さらに具体的な資本主義の歴史的発展の状況を背景に、それぞれの観点から提示しているものと考えられる。(4)こうした見地をふまえ、社会主義経済の諸類型での貨幣・信用制度の役割についても補足的に新たな検討が加えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 伊藤 誠: "「多国籍」企業と金融" 歴史学研究会編『講座 世界史12わたくし達の時代』東京大学出版会. 19-46 (1996)

  • [文献書誌] Makoto Itoh: "Money and Credit in Socialist Economies:a Reconsideration" CAPITAL & CLASS. 60. 95-118 (1996)

  • [文献書誌] Makoto Itho and Costas Lapavitsas: "Political Economy of Money and Finance" London:Macmillan, 260 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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