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1997 年度 実績報告書

日本経済の構造転換に関する理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07630013
研究機関大阪大学

研究代表者

辻 正次  大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (90029918)

キーワード構造変化 / 工作機械産業 / チャウ・テスト / 継続的研究開発モデル / leapfroggingモデル / PNC工作機械 / Japanese Technology
研究概要

日本経済の構造転換に関する本研究では、日本の工作機械産業を例に取り上げ、その構造変化と成長の要因について理論的・実証的に分析した。日本の工作機械産業は当初から高い生産性を保持していなかったが、戦後先進国の技術にチャッチアップする過程で日本独自の技術(“Japanese Technology")が形成された。このプロセスは単に工作機械産業にのみ特有ではなく、製造業全体に当てはまる。本研究では、このプロセスの理論化とその実証を行った。
戦後、設計図の購入等により欧米の新技術の導入が行われた。1960年代NC(数値制御)工作機械の開発と、それに続く70年代初頭のPNC(コンピュータ数値制御)工作機械の開発において、ついに欧米にキャッチアップすることができた。この構造変化の時期は、工作機械生産モデルを作成し、それにチャウ・テストを行うことにより、1976年であると特定できた。
日本のPNC工作機械開発の要因には、工作機械メーカーとエレクトロニクス産業やコンピュータ・メーカーとの共同開発が挙げられる。それぞれの産業が持つ優位性を有機的に結合することにより、世界に先駆けて開発に成功したのである。他方欧米工作機械企業は、それまでの技術蓄積を生かして独自に開発を行ったが、それが結果的に遅れを取ることになった。
日本の工作機械での技術開発の特徴は、一つの製品の技術開発過程が次の新製品開発の基礎になっていることである。これを「継続的研究開発モデル」と理論化した。これと好対照をなしているのが、東アジア経済の成長モデルである。「leapfrogging(カエル飛び)理論」である。後者は最新の先進国技術を導入し、研究開発過程を省略するものであり、一見効率的な技術開発に見えるが、常に外国の技術に依存し、その国独自の技術の形成は出来ない。以上が、日本の工作機械産業が常に優位性を保持している要因であると結論できる。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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