研究概要 |
本研究の基本的な目的は、状態変数が複数個存在するような微分ゲームにおけるフィードバックナシュ解の数学的性質について検討し、フィードバックナシュ解を経済分析における基礎的な均衡概念の一つとして使用できる道を明らかにすることである。 残念ながら、現在の段階までに当初の目的を達成することはできていないが、従来にない新しい研究成果が達成できた。 すなわち、今、状態変数の運動方程式dx_i/dt=f^i(X_l,…,X_n,C_l,…,C_s)、i=l,…n,が状態変数及び各プレーヤーの制御変数に関してhomogeneous of degree one であり、かつ、目的汎関数が一定の条件を満たす被積分関数によって定義されているとき、たとえ状態変数の同次関数になる、数nであっても、フィードバックナシュ解がn個の状態変数の同次関数になる、という定理の証明に成功した。(N.V.Long and K.Shimomura“Some results on the Markovequilibria of a class of homogenous differential games,"Journal of Economic Behavior and Organization,December 1997) この成果に基づいてフィードバックナシュ解とオープン・ループ解が上記のようなタイプの微分ゲームにおいて一定の規則的関係にあることを示した。またこの成果が国際貿易論や成長論に対して持つ理論的意義についての考察を行った。
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