研究概要 |
転換社債価格変動モデルとして、転社CSM(cross-sectional market)モデルと転社TDM(Time dependent Markov)モデルを定式化した。これらは、市場で確率的に実現する転換社債の価格変動を記述する実証的確率モデルである。周知のように、転換社債は、普通社債としての属性と潜在的株式としての属性をもつため、その価格変動も両者の属性をそなえた複合的変動をする。前者の属性としては、債券としての満期期間,ク-ポンレートおよびディフォルト・リスク等が債券としての価格変動に寄与する。従ってこれらの属性がモデルの中に整合的に導入することが必要となる。他方転換社債は株式に転換する権利(オプション)を付与されているので、価格はコールオプションの属性をもった変動をする。CSMモデルでは、価格から直接分離できない社債としての価値と潜在的転換権の市場価値の間の交換オプションとして価格を位置付け、株式価格には幾何ブラウン運動プロセスを仮定してクロスセクション市場価格モデルを構築している。ここでは債券としての事前的属性がその定式化において考慮されている。TDMモデルでは、CSMモデルでは説明できない時系列的構造をモデルに導入し,指標銘柄的な事後的属性も考慮したモデルとなっている。次年度に向けてこれらのモデルの実証化の準備を行っている。
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