研究概要 |
前年度展開した転換社債価格変動モデルの実証化を行い、その有効性を確認した。モデルは転社CSM(cross-sectional market)モデルと転社TDM(time-dependent Markov)モデルからなる。データとして個別銘柄転換社債価格の月次系列(1989.4〜1996.3)を採用し、最初にCSMモデルを推定し、その残差の1期前の値をTDMモデルで用いる。転換権の評価においては、株価に幾何的ブラウン運動を用いるものの,価格間の相関構造を考慮し条件は期待値の評価ではモンテ・カルロ・シミュレーションを行う。結果は、標準誤差は多くの月で2円以下となり、これまでのモデルに比べてきわめて良好である。注意すべき点は,各月の標本数が40〜150であるのに対して、未知パラメータは6個にすぎず,モデルは変動構造を把握している点である。パラメータの時系列変動構造とt値の変動構造から多くの観察を行う。特に転換権の前にあるパラメータの変動が有意であることをみる。事前的属性としては、ク-ポンレートと満期期間をとるが、転換権の価値が大きいときは、ク-ポンレートのパラメータは有意とならないが、債券モデルとの比較上重要である.
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