研究課題/領域番号 |
07630021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済統計学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
刈屋 武昭 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70092624)
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研究分担者 |
津田 博史 ニッセイ基礎研究所, 金融研究部, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 転換社債 / 転換社債CSMモデル / 転換社債TDMモデル / ブラック=ショールズの公式 / 割引関数 / 一般化最小2乗法 / 銘柄属性 / イールドカ-プ |
研究概要 |
転換社債価格変動モデルとして、転社CSM(cross-sectional market)モデルと転社TDM(time dependent Markov)モデルを定式化し、その有効性を実証的に検証した。これらのモデルは、市場で確率的に実現する転換社債の価格変動を記述する実証的確率モデルである。周知のように、転換社債は、普通社債としての属性と潜在的株式としての属性をもつため、その価格変動も両者の属性をそなえた複合的変動をする。前者の属性としては、債券としての満期期間、ク-ポンレートおよびディフォルト・リスク等が債券としての価格変動に寄与する。従ってこれらの属性がモデルの中に整合的に導入することが必要となる。他方、転換社債は株式に転換する権利(オプション)を付与されているので、価格はコールオプションの属性をもった変動をする。CSMモデルでは、価格から直接分離できない社債としての価値と潜在的転換権の市場価値の間の交換オプションとして価格を位置付け、株式価格には幾何ブラウン運動プロセスを仮定してクロスセクション市場価格モデルを構築している。ここでは債券としての事前的属性がその定式化において考慮されている。TDMモデルでは、CSMモデルでは説明できない時系列的構造をモデルに導入し、指標銘柄的な事後的属性も考慮したモデルとなっている。 モデルの有効性を実証的に検証するために、データとして個別銘柄の転換社債価格の月次系列(1989.4〜1996.3)を採用し、最初にCSMモデルを推定し、その残差の1期前の値をTDMモデルで用いる。転換権の評価においては、価格間の相関構造を考慮し、条件付期待値をモンテカルロ・シミュレーションで評価する。結果は標準誤差は多くの月で2円以下となり、これまでのモデルと比べてきわめて良好である。各月の標本数が40〜150であるのに対してパラメータは6個にすぎず、モデルの有効性が検証された。
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