1:単位根検定において、その実証上の例としてとみに有名なのは、Nelson-Plosserによる米国マクロデータの解析を行った論文である。この論文の手法を改良し、同じデータについて新しい分析結果を出したのが「ARIMA Approach to the Unit Root Analyses of Macro Economic time Series」であるが、この論文は日本統計学会誌に採択された。2:同上論文の検定の性質を理論的に分析したのが「ARMA and ARIMA Approaches to the Unit Root Analyses of Macro Economic Variables」で、雑誌「Mathematics and Computers in Simulation」に最終稿が採択された。3:同時方程式モデルについての外生性の検定の論文「Switching Orthogonality」は、International Economic Reviewに採択された。この論文は外生性検定に新しい観点をもたらすもので、応用性にとむことが知られている。単位根が含まれる時系列過程について、確定トレンド変数項の「折れ曲がり」を想定した検定の性質を、数値的に分析してきた。これはかなりの計算時間を必要としたが(3カ月)、1996年11月に明治学院大学で開かれた国際学会「最近の時系列分析の展開」で報告した。4:単位根が含まれる時系列過程について、確定トレンド変数項の「折れ曲がり」を想定した検定の改良を行った。この論文は、来る7月に香港で開かれる、世界計量経済学会極東大会において報告される。藤論文は現時点では未発表であるが、実証的にも理論的にも大きな意味を持っている。以上のように、当科学研究費のおかげで、研究は順調に伸展している。次年度は最終年度にあたるので、進行中の論文を完成し、成果をまとめたいと考えている。
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