全国に広がる地下水汚染は地質汚染の一環としてとらえることが必要である。全国の地下水汚染は減少傾向にあるといわれるが、都市部では依然として続いている。本研究では、現在までに明かになった主として有機溶剤による地質汚染を、地域別、産業原因別に分類した。 さらに今日までの有機塩素系化合物の有害性に関する知見をまとめ、地質汚染を浄化する意義を4点にわたり整理した。その浄化への取り組みの現状と問題点を、国レベルと地方レベルで検討し、国レベルでは浄化の責任主体と費用負担などの制度的問題が解決していない現状を示した。 これに対し、地方自治体において、汚染機構解明を技術的財政的に援助する千葉県の制度や、日本型スーパーファンドといわれる神奈川県秦野市の地下水汚染防止浄化条例等の先進的取り組みを紹介分析し、今後の課題として、土地所有者の浄化責任問題を検討した。 結論として、地質汚染の重大性と浄化の意義をふまえ、早急に国レベルにおいて、地下水汚染と土壌汚染を統合した地質汚染の防止と浄化の制度をつくりあげていくべき点を強調したい。
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