1996年5月に一部改正された水質汚濁防止法によって、「地下水汚染」浄化の制度が具体化されることになった。本研究は、そのさいの問題点と課題を、全国のハイテク汚染にそくして検討した。 浄化のモデルとなった君津市の教訓、初めてのハイテク汚染が確認された東芝太子工場のその後、地下水依存都市・熊本市の汚染機構解明、東根市のハイテク団地の汚染、「ハイテク研究開発工場」による汚染、広域汚染の八日市市周辺、浄化条例を施行した秦野市、ハイテク下請工場による汚染、レンズ工場による汚染などの事例を紹介検討した。 これらを通じて、これまで知られている事例以外にも公表されていない汚染がかなりあり、またハイテク本体の工場のみならず、関連下請工場による汚染が広かっていることを明らかにした。各都道府県によって、汚染機構の解明程度、公表度などに違いが見られる。その原因としては、各都道府県の汚染原因者に対する姿勢の違い(企業誘致型かどうか等)、地下水依存度の違い、地下水汚染防止要綱等の整備具合、が考えられる。 汚染者負担の原則については、一部には汚染の責任を正式には認めず、「寄付」行為として一部費用を支払っている企業がある。中小企業については、浄化基金をつくったり、浄化設備を貸与する制度をもつ自治体もあるが、その際にも汚染機構の解明とそれに対応した浄化対策、住民への情報公開が不可欠である。
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