本研究では、経済統合のマクロ経済的な効果を、APEC地域という具体的な事例を通じて定量的に明らかにすることを目的とする。APEC地域においては、財・サービスの貿易、直接投資をはじめとする生産要素の国際移動が活性化してきており、こうした側面と経済統合の関連を捉えることが、経済統合の効果をみる上で不可欠の視点である。このため、適切な規模の世界経済モデルの構築が必要となる。 平成7年度には、経済モデルを効率良く構築・管理できるソフトウェアの開発にあたった。ソフトウェアの開発に関しては、一応実用可能なものの目途が立ったとはいえ、改良すべき課題も多い。すなわち、ソフトウェアのコアとなる、個別式の推計や、シミュレーションのシステムに関しては、ほぼ完成したが、推計結果をグラフ表示する機能に関しては、開発時間の制約から平成8年度以降の課題となっている。また、現在のシステムは、WINDOWS3.1をベースとして開発しているが、これには二つの問題がある。第一は、16bitのOSなので32bitCPUの特性を充分に生かし切れていない。第二に、システムが充分安定的でなく、時に、ハングアップしたり、最悪の場合は暴走したりする。こうした点、特に前者の問題は、WINDOWS N/TやWINDOWS95のもとでのアプリケーションとして開発し直せは、改善されうる。ただし、平成8年度はモデル構築そのものにも着手するため、当面は、現在開発したソフトウェアを用いてモデル構築を行う予定である。
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