研究概要 |
研究計画に従って、Salamonの掲げるNPOの6つの資格要件(1)制度的形式性(2)非政府性(3)独立性(4)非営利性(利潤非分配性)(5)非党派性(6)ボランタリー性に照らし合わせて、日本の非営利セクターの範囲を限定し、平成7年度に引き続き芸術文化における非営利団体(以下、NPO)についてデータ集計を行い、その結果、次のことが明らかとなった。 芸術文化におけるNPO:非営利セクターの規模は、(1)支出関連指標:団体数、雇用(人数、賃金)、ボランティア(人数、時間)、支出(経常支出、資本支出)(2)収入関連指標:政府補助、民間寄付、料金や会費収入、現物給付(3)産出関連指標:顧客数、収容能力などの3つの指標により推計した.このうち団体数は、経済企画庁『民間非営利団体実態調査報告』の「学術・文化団体」のデータを利用できた.「学術・文化団体」では、学術団体として日本学術振興会など、文化団体として日本芸術院など1,023団体が含まれる.民間非営利の図書館、博物館、公民館などの社会教育施設は文部省『社会教育調査報告書』を利用した.芸術関係団体は、通産省『サービス業基本調査』から非営利と思われる団体を抽出した.賃金の推計には、日本音楽家ユニオン『賃金労働条件実態一覧』などを用いた.さらに、収入・支出の推計には、上の資料の他、大蔵省『補助金総覧』などを用いた.集計の結果、日本のNPOの多くは経営基盤が貧弱であり、財務データを得ることはかなり困難であった。
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