研究概要 |
研究計画に従って、日本の日営利セクターの範囲を限定し、平成8年度に引き続いて芸術文化における非営利団体(以下,NPO)のデータを集計し、その結果、次のことが明らかとなった。 1.経済企画庁「民間非営利団体実態調査報告」,総務庁統計局「サービス業基本調査報告」,文部省「社会教育調査報告書」,大蔵省「補助金総覧」等を用いて,芸術文化に関するNPOを推計すると,芸術文化団体は1,688団体(1989年)から2,196団体(94年)へ,フルタイムの雇用者数は,6,201人(89年)から19,950人(94年)へ増加している。 2.我が国のNPOは,公益法人として法人格を持つ団体と,法人格の無いいわゆる草の根の市民団体が伴存している点が欧米のNPOと相違しており,特に,法人格の無い団体は日本型モデルとして今後の発展が期待される。 3.今国会で成立した「特定非営利活動促進法」(以下,NPO法)により,市民団体は法人格をこれまでより用意に取得できることとなった。しかし,活動分野が12に限定されていることはNPOの活躍の場を狭めることになりかねない。また,政府や自治体糖からの助成金受給や業務委託の条件としてNPO法による法人格取得が義務づけられたり,会計書類の整備が求められたりすることにより,財政規模の小さいNPOの負担が増加し,活動が制約されるおそれがある。今後は,開かれた市民社会の発展のために,NPOに対する税制上の優遇措置の実現が必要である。
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