東南部アフリカを含むサブサハラ・アフリカ(以下単にアフリカ)諸国の経済は1980年代相次いで経済危機に陥り、世界銀行主導の経済構造調整政策の採用を余儀なくされた。その中で、民間部門の主導による成長の実現が大きな課題であったのは紛れもない事実であるが、一方で、政府・公営企業部門の効率化も重要な政策対象となった。 本研究では、東南部アフリカに属するケニア・ザンビアなどの具体的な公益事業セクター(医療保健、行政サービス、穀物流通、上水道供給等)を研究対象として選択し、それぞれのセクターの当該国の政治経済制度や、歴史的背景の下での位置づけに十分配慮しつつ、その効率上の問題点や要因分析を行った。総合的な知見としては、構造調整政策の成功のためには、マクロ経済的な安定化や改革ばかりでなく、ミクロ・レベルの政府・公益事業体部門の合理化が不可欠であること、同部門の効率性向上のためには、人的資源開発やそれを促進する能力主義的人事管理などの制度的問題が解決される必要があること、構造調整政策をはじめとする経済の効率化は先進国とは大きく異なるアフリカの経済資源配分システムのあり方を十分考慮して行われるべきことなどが得られた。
|